貴女が男の子を好きになったのは何歳の時ですか?
小学生6年生の頃かな、僕はまだ小さくて
感情に名前をつけることもできなかった。
君がピアノを弾いているとき、
それは風のように聞こえて、
僕の胸を優しく叩いた。
夏の夕暮れ、公園で友達と遊びながらも、
本当はずっと、君の家の窓を見ていた。
ふいにカーテンが揺れるたび、心臓がドキンと跳ねた。
窓を開けて、顔を出してくれないかなって。
そんな淡い期待を、抱えながら眺めてたんだ。
君の姿を一度も見られなかったくせに、
それでもあの日々は、今でもあの光景は鮮明に残ってる。
ピアノの音が聞こえると、今でも思い出す。
まるで時間が巻き戻るみたいに、
あの夕焼けの匂いと、
揺れるブランコの影が。
言葉すら交わせなかったけど、
あの頃をこんなにまだ懐かしく思えるんだね。
大人になって、恋を知って、
失くす痛みも覚えたけれど、
あの恋だけは、どこにも傷つかずに、
胸の奥で静かに息をしている。
あの公園も、君の家も、
今はもう別の景色に変わったんだろうな。
けど懐かしいあのピアノの音は今も心の中に残っているんだ。
