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写メ日記

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龍生の投稿

真紅と左腕と、解放のサイコガン

09/24 03:28 更新

子供の頃
授業で書いた作文は
他の子たちと違って感情を優先していた

先生はその部分を好評してくれた
でも採点され、先生の視点で文章が直されると
何が良い作文なのか、わからなくなった

評価のための整った文章は
自分じゃないようで
心が置き去りになり
感情のペンは、左手の奥に埋もれていった

――今日は会社で
プロジェクトのプレゼンを行う日だ

評価を得るために
適当に作った資料を読み上げるだけの
感情のないプレゼン

給料が上がり
昇進できればそれでいい
他人の評価ばかりを気にしながら
心を置き去りにする日々

――家に帰り眠りにつく
夜中、悪夢にうなされて目を覚まし
汗まみれの顔を水で洗った

鏡に映る自分を見ながら思う
これが本当の自分か、と

その疑問に呼応するように
左手が疼く
ポケットに手を入れると
そこには親指ほどの
真紅のダイヤモンドがあった

「世界で一番高価なレッドダイヤモンド……」
思わず呟く

よく見ると
その中心には小さな黒点が揺らめいていた

――実は僕は
宝やファンタジーが好きなオタクだった

黒点入りのダイヤを調べると
それは「アンチマターを封じ込めた
レッドダイヤモンド」だった

アンチマター――
数グラムで核爆発を超える
究極の物質

なぜ自分がこんなものを持っているのか
困惑したまま
朝を迎えていた

――出社すると
会社の玄関前に黒服の男たちが立ち並んでいた

「待て!こいつから反応がある!」
一人が叫ぶと
数十人の黒服に取り囲まれる

「身体検査をさせてもらおう」
ポケットのレッドダイヤモンドが見つかった

「これはどこから持ってきた!」
「わからない」

答えた瞬間
殴る蹴るの暴行が始まる

「言え!言わないと死ぬぞ!」
血に染まる視界の中
もうダメだと思った時――

――僕の中から感情が溢れだした
身体に衝撃が走る

次の瞬間、拳が黒服の顔面を打ち抜いていた

「貴様、何者だ!」
黒服が叫ぶ

小型マシンガンが一斉に僕へと向けられる
絶体絶命――

その時思い出した
僕は伝説のトレジャーハンター

数年前
アンチマターで世界を滅ぼそうとした巨悪から
それを奪い
レッドダイヤモンドに封じた

逃走の果てに顔を変え
記憶を失っていたのだ

――マシンガンが火を吹く刹那
左腕が光り
感情をエネルギー弾へと変える
サイコガンが目を覚ました

胸の奥から
怒りと悲しみと歓喜を燃料に
灼熱の光弾が迸る

轟音と共に
圧縮された想いが炸裂し
閃光が視界を真白に染めた

黒服たちは叫ぶ暇もなく
次々と吹き飛ばされていく
銃弾の嵐を
感情の奔流がかき消していく

焦げた匂いと破片が散る中で
僕は低く呟いた

「失った本当の感情を取り戻したぜ」

――忘れていた感情を取り戻した時
心の地図を
自由に描きたいと願った

その瞬間
固いレッドダイヤモンドの奥で
閉じ込められていた宇宙が解放され
赤い光は千の星座となり
僕の影を照らし出した

その輝きは
過去に置き去りにした涙を洗い流し
未来を選ぶ自由を与えてくれる

そして僕は気づく
奪われたと思っていた「感情」は
ずっとこの胸の奥で
眠っていただけなのだと

夜明けの空に
解き放たれた光を仰ぎながら
僕は初めて
自分の心の声に頷いた

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雨音と影と、崖の向こう

09/23 01:28 更新

子供の頃
雨の日に歩いたどぶ川のほとり
覗き込んだ瞬間、足を滑らせ
隣にいた影と共に川へと呑まれた

濁流に必死で藻掻きながら
偶然通りかかった大人に引き上げられ
助かった安堵と、まとわりつくどぶ川の臭い

家に戻り体を洗い流しながら
あの時、後ろから蹴られたことは
言わないでおこうと決めた

蹴落としたその人は
今は風の噂で大変な状況になっているようだ

――大人になってからも、
同じ光景は繰り返された
深夜も早朝も身を削り
積み上げた大きな仕事を
上司の一言で奪われる

「後はA君が引き継ぐ」

背中に走るあの感覚
蹴落とされる痛みと重なっていた

その日、僕とAは
重大な機密を託されていた
国家を揺るがすほどの情報を収めた
マイクロチップを顧客に届ける任務についた

僕とAは護身用の拳銃を携え、
僕は靴下にグラップリングガンを忍ばせていた
(壁や天井にフックを撃ち リールで身を引き寄せる移動の銃)
子供の頃の記憶が形を変えて
それは僕のお守りになっていた

送迎車に揺られながら
Aは薄ら笑いを浮かべる
「お前の手柄をもらって悪いな」
僕は無言で窓の外を見つめた

後ろから黒塗りの車が尾行して来た
嫌な予感がする
僕とAは警戒する

黒塗り車はじわりと距離を詰め
やがて速度を上げて鋭く切り込んできた

激しい衝撃が送迎車を叩き
車は制御を失って回転し始める

窓ガラスが砕け
金属の悲鳴が辺りにこだまする
車はガードレールに激しく叩きつけられて停止した

衝撃で運転手は動かなくなった
黒塗りの車から武装したエージェントが降り立つ

プロの動きで僕らは素早く押さえつけられ
銃口から催涙の噴霧が吹きかけられる

視界が溶け
意識は闇に沈んでいった

目を覚ますと
雨に煙る滝の崖の上
手を縛られ 銃も奪われていた
エージェントは笑いながら告げる
「そいつを突き落とせば助けてやる」

震えるAの姿に
一瞬「消えても困らない」と
よぎる黒い衝動
だが僕は走り出し
その背を抱きかかえ
共に滝へと飛び込んだ

靴下から引き抜いたグラップリングガンを
咄嗟に放つ
岩肌に突き刺さり
ワイヤーに宙づりになって
激流を背に二人で降りていく

「……ありがとう」
震える声を聞きながら
僕は低く呟いた
「蹴落とす者は いつか自分も蹴落とされる」

雨音にかき消されながら
上ではエージェントの混乱する声が響く
僕らは森の影に紛れ
静かに逃げ延びた

――その後、僕は全てを手放した
もう振り返っても
蹴落とす者はどこにもいない
広がる空の下
自由という宇宙を
ただ飛んでいるのだから
風が背中を押し、未だ見ぬ季節へと向かう
静かな朝を胸に抱えて

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ガラスと振動と、秘密の画材

09/21 19:28 更新

なんか足りないと呟きながら歩く
足取りは真面目で
繰り返す日々に すり減る感情が滲む

それでも夜風に押されるように
溢れかえる音へ導かれ
旅の衝動に駆られる

形のない大事なものは
意外と近くで揺らいで
星がひときわ瞬く夜
紡いだ詩がガラス窓を震わせ
グラスの氷を静かに溶かす

知らない世界に飛び込んだ先で
待ちわびた瞳に映る僕は
光に溶け
終わりのない始まりを繰り返す

秘密の画材に描いた想い出は
素肌をかすめ
大人になれない子供の影を浮かべる

笑う君の温かさが
クリーム色の夢となり
夜空を静かに漂う

その軌跡が
気づけば僕の明日を染める

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