サラリーマンを辞めたのは
自由になりたかったから
あの頃は
自由になれば
何かが全部うまくいく気がしていた
でも
手に入れたものの隣には
失ったものもあった
大切な人と
離れて暮らすようになって
それでも時間は進んで
ある日ふと
花を贈ろうと思った
生まれて初めて
誰かのために花を選ぼうと思った
カフェで仕事をしていた時
なぜか昔よく聴いていた
少しニッチなアーティストを思い出した
久しぶりに調べてみると
今は花屋をやっていた
店の名前は
アナスタシア
家からは遠かったけれど
そこまで行ってみたくなった
知らない駅を降りて
知らない道を歩いて
少し迷って
少し遠回りして
その時間が
妙に楽しかった
たどり着いたのは
看板もほとんどない
小さな花屋だった
そこで
青い花を選んだ
両手いっぱいに抱えて
帰りの電車に乗った
誰もいない車内で
花と一緒に写真を撮った
あとで見返した時
そこに写っていたのは
花を抱えた自分なのに
なぜか
これから先の自分にも見えた
遠回りして
迷って
傷ついて
それでも
知らない場所へ行って
見たことのない景色を見て
また笑っている
たぶん
これからもそんな道を歩く
山もあるし
谷もある
きっとまた
傷だらけになる
でも
それでいいと思っている
楽しい方へ
面白い方へ
自分で選んだ道を
これからも歩いていきたい
あの日
誰かに渡すために選んだ青い花は
気づかないうちに
これから進んでいく自分にも
少しだけ
手渡していたのかもしれない































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































































