眠れぬ夜は
苦いコーヒーと
やさしいアルコールで
心をぼかしていた
忘れたいわけじゃない
ただ、少しだけ
この感情の重さをゆるめたくて
会えない時間、
君が好きだった
色と音と感情の世界を、
僕も追いかけてみた
何を感じていたのか知りたくて
君の目線を、少しでもなぞってみたくて
気づけば僕も、
知らなかった景色に心を奪われていた
色や言葉や沈黙に
まるで触れるような気がした
思い出すたびに
胸の奥が、ぎゅっとなる
僕は、君を想いすぎていた
でもそれは、
“理解したい”という祈りのかたちだった
どうすれば伝わるんだろう
言葉にしなくても
ちゃんと届く “気配” に
なれるだろうか
少ない時間を
少しでも多くするように
心だけは
ずっとそばに置いてきた
朝が来ると、
まるで何事もなかったかのように
光が差す
その光が、
ぼくをまっすぐにしてくれる
君のことを考える時間は、
忘れるためじゃなく、
守るためだったんだと
気づいた
コーヒーとお酒と、
そして
輝く太陽だけが
ほんとうのことを知っている
