【全ての貴女に捧げます】
仕事も家庭もきちんとこなして毎日頑張っている貴女。けれど、ふとした瞬間に見せる空虚な瞳が、僕にはとても印象的だった。
「もう、誰かに触れられることもないと思ってた」
ぽつりとこぼれたその言葉に、僕の指先が静かに彼女の髪に触れた。何かを壊さぬように、でも確かにそこにいるという証のように。
肌に触れるたび、彼女の奥に眠っていた何かが、少しずつ目を覚ましていく。吐息が熱を帯び、指先が求める先に導かれていく。心と身体がようやく同じ温度になる瞬間――その微細な変化を、僕は何よりも大切にしている。
女性は与えられるだけの存在じゃない。欲し、選び、自ら喜びをつくることができる存在だ。そのことを、僕はこうして静かに伝えたい。
「女に生まれて、まだ楽しめることがあるんだね」
そう思ってもらえるように。貴女が自分自身を再び受け入れた証になるように。その気づきのために、僕は存在している。
喜びは、誰かに与えられるものではない。自分の中に種を植え、水を注ぎ、花を咲かせるもの。
その花がひとつ、またひとつとそっと咲いてほしい。
