最初はただのマッサージ。
肩や背中を押されるたびに「気持ちいい」と思っていたのは、疲れがほぐれていく心地よさだった。
けれど、彼の指が腰に触れ、脚の付け根にかけてゆっくりと撫でるように移動していくと、呼吸が自然と深くなる。
それは“気持ちいい”の質が、さっきまでのリラックスとは違うものに変わっていく瞬間だった。
普段は誰にも触れられない場所に、丁寧でためらいのないタッチ。
最初は恥ずかしさで体に力が入ったけれど、
「大丈夫、全部ゆっくりだから」
と落ち着いた声が耳元に届き、その声ごと肌に沁み込んでいくようで、力を抜いてしまった。
触れられるたびに、体の奥が熱を帯びていく。
背筋を伝うような震えが広がり、呼吸が乱れる。
自分の中の“気持ちいい”がどんどん大きくなり、頭の中の考えをすべて押し流してしまう。
「気持ちいいですね」
その囁きに返事をしようとしても、言葉にならず、代わりに声が漏れてしまう。
恥ずかしいはずなのに、その声を受け止められるたびに、さらに奥深くから快感が引き出されていく。
まるで、誰かに許されながら少しずつ解放されていくような感覚。
身体だけじゃなく、心までほどけていく快感に包まれ、気づけばもう自分では止められなくなっていた。
終わったあと、胸いっぱいに広がっていたのは“満たされた”という安堵。
ただ触れられただけじゃなく、自分が女性として受け入れられた という感覚が強く残っていた。
