【全ての貴女に捧げます】
貴女とお逢いする度に少しずつ、本当の顔を見せてくれる。
日常では誰かの妻であり、母であり、上司であり、部下である貴女が、静かに僕の前で息をほどく瞬間。まるで夏の夜に舞う蛍のように、ひとときだけの輝きを灯しては、また闇に溶けていく。
「もう女として見られてないのかも」
ぽつりと漏らした貴女の言葉が、心に爪を立てた。
そんなことはない。僕の目には、今ここにいるあなたこそが、美しく、妖しく、どうしようもなく魅力的に映っている。
年齢を重ねたからこそ匂い立つ色気。誰かに壊され、また立ち上がってきた女性の強さと、ほんの少しの脆さ。
蛍たちのように短くも鮮烈な「命の光」を交わす時間。
もし、あなたが、誰にも見せられない涙を抱えているなら――
僕にその光を見せてください。
あなたの奥に隠れている、心の優しい火を。
