6歳でピアノを始めたビル・エヴァンスは、やがてステージで才能を開花させるようになり、高校を卒業しないうちからすでにダンスイベントや結婚式で演奏していた。
・フルート専攻の奨学生としてサウスイースタン・ルイジアナ大学に入学し、1950年にピアノと音楽教育の学士号を取得。
・大学を卒業して間もなくHerbie Fields率いるバンドに加入し、ビリー・ホリデイのバックバンドとしてツアーを回った。
・1958年、ジョン・コルトレーンやキャノンボール・アダレイも在籍していたマイルス・デイヴィス・セクステットに加入。
・1959年にはマイルス・デイヴィスの『Kind of Blue』で演奏と作曲を担当。チェット・ベイカーの『Chet』でも、ほとんどの楽曲でピアノを演奏した。
・トニー・ベネットとは1975年の『The Tony Bennett / Bill Evans Album』と1977年の『Together Again』の2つのアルバムで共演。
・没後、1981年のグラミー賞では、『We Will Meet Again』(1979年)と『I Will Say Goodbye』(1980年)のそれぞれ異なる2つのアルバムで受賞を果たした。

Waltz for Debby
日本でも高く支持されるジャズピアニスト、ビル・エヴァンスが、ベースのスコット・ラファロ、ドラムのポール・モティアンと結成した初期トリオ時代の傑作。情緒的な演奏と繊細な音選びが全曲で聴かれ、エヴァンスの詩的な世界観を堪能できる。本作の録音から2週間も経たずに交通事故でこの世を去ったラファロの太いベース、モティアンの細かいブラシによるバッキングがトリオによるライブ特有の緊張感を引き締め、周りの喧騒から切り離された没入感を与えてくれる。三位一体の完成された演奏があたかも目の前で起きている錯覚さえ感じさせる本作が、歴史に残るピアノトリオ名作の一つとして受ける評価もうなずける。