
世界の皆さん、こんにちは🌎
焦ることに少し疲れた日は、
街の喫茶店に逃げ込むのがいちばんです。
コーヒーの香りと、小さな音楽。
外では風が急ぎ足で過ぎていくのに、
この中だけは、時間が伸びている気がします。
バーナードは、カップの湯気を見て言いました。
「この湯気も、焦って上に行ってるのかな。」
誰かにとっての焦りも休みも、同じ時間の中にあるんですよね。
世界
全145件中1~10件を表示
11/08 09:56 更新

世界の皆さん、こんにちは🌎
焦ることに少し疲れた日は、
街の喫茶店に逃げ込むのがいちばんです。
コーヒーの香りと、小さな音楽。
外では風が急ぎ足で過ぎていくのに、
この中だけは、時間が伸びている気がします。
バーナードは、カップの湯気を見て言いました。
「この湯気も、焦って上に行ってるのかな。」
誰かにとっての焦りも休みも、同じ時間の中にあるんですよね。
世界
11/05 08:31 更新

世界の皆さん、こんにちは🌎
十一月になると、
なぜかみんな少しだけ焦っている気がします。
街も人も、
「あと少しで終わってしまう」という空気をまとっていて、
それが冷たい風みたいに肌に触れます。
でも、時間が早くなったわけじゃないんですよね。
僕たちの心が、「まだ何かしなきゃ」と追いかけているだけ。
バーナードが言いました。
「焦るのって、生きてる証拠じゃない?止まってたら、季節も見えないし。」
そう言われて、少し笑ってしまいました。
焦ることも、きっとこの季節の一部なんだと思います。
だって、風も、木も、みんな急いで冬を迎える準備をしているから。
世界
11/02 19:28 更新

世界の皆さん、こんにちは🌎
通りを歩いていると、一枚の封筒が風に乗って飛んできました。
宛名も切手もなく、ただ白いまま、空を泳いでいました。
僕の足元にふわりと落ちたその封筒は、
まるで“誰かの言葉のかけら”のように見えました。
開けてみると、中には何も入っていませんでした。
だけれど、なぜだか存在しない言葉を理解できたような気がします。
「きっと、それでいいんだよ。」
空を泳ぎながらバーナードが言います。
「言葉は、届く前からもう誰かを動かしているんだ。」
その声を聞いた瞬間、
僕の手の中の封筒が、また風に乗って舞い上がりました。
どこかへ向かうように、軽やかに。
世界
10/30 09:01 更新

世界の皆さん、おはようございます🌎
昨日まであった赤いポスト📮が、
今朝、忽然と消えていました。
郵便屋さんの足跡も、手紙の残り香もなく、
ただそこに“空白”だけが立っていました。
撤去された理由はわかりませんが、
もしかしたら、もう役目を終えたのかもしれません。
けれど僕は、少し寂しくなりました。
言葉を投げる場所がなくなると、
人は心の中にそれをためこんでしまうから。
バーナードが僕の足元で、
しっぽをゆらしながら言いました。
「でもさ、ポストが消えても、空はまだあるだろ。
投げる場所が変わっただけさ。」
彼の言ったことに少しだけ頭を捻りました。
言葉は場所を選ばずに、誰かの心に届くのかもしれません。
そう思ったら、
見上げた空が少しだけ赤く見えました。
世界
10/27 16:49 更新

世界の皆さん、こんにちは🌎
朝の街は、まるで世界そのものが目を覚ましたみたいに、
少しずつ色と音を取り戻していく。
鳥のさえずり、新聞配達のエンジン音、パンが焼ける香り、遠くで微かに聞こえるアラーム、誰かの笑う声。
それぞれがまるで楽器みたいで、
僕たちは知らないうちにそのオーケストラの中に混ざっている。
昨日まで心の中にあった孤独な夜も、
このざわめきの中で少しずつ薄れていく。
バーナードが宙を舞いながら言った。
「街ってさ、みんなの“おはよう”で動いてるんだな。」
そうだね。
きっと世界は誰かの“おはよう”で始まり、
そして誰かの“おやすみ”で終わる。
それが、毎日くり返される奇跡。
明日もまた必ず、街は目を覚ます。
世界
10/24 01:36 更新

世界の皆さん、こんにちは🌎
夜と朝のあいだに、
たまに“音のない音”が聞こえることがあります。
街も人もまだ眠っているのに、
どこかで誰かがカーテンを開けるような気配。
それが、夜明けの音。
昨日まで心の奥に積もっていたものが、
少しずつ溶けていくような感覚。
それは言葉じゃなくて、
たぶん、息をするみたいな優しさなんだと思います。
バーナードが羽を伸ばしながら言いました。
「夜が明けるってさ、太陽が出るんじゃなくて、
人が“起きよう”って思うからなんだよ。」
夜明けは、誰かの意志の連鎖でできているのかもしれません。
誰かが目を覚ます音が、
また別の誰かを、静かに起こしていく。
空が少しずつ白んでいく。
遠くの街から、ひとつだけ鳥の声が聞こえました。
世界
10/21 19:26 更新

世界の皆さん、こんばんは🌎
夜の街は、昼よりも優しい顔をしています。
人の声が少し遠くなって、
灯りが、代わりに話しかけてくるみたいです。
今日も、誰かの言葉に戸惑って、
何も言えないまま笑ってしまった。
大人になるほど、
伝えるよりも、黙ることが増えていく気がします。
バーナードがパタパタと手すりに飛び乗りました。
「声ってさ、届かなくても、
ちゃんと“出そうとした”だけで温度が残るんだぜ。」
誰かに届かなくても、
その声は、夜風の中で少しだけ生きているのかもしれない。
街の灯りがひとつずつ消えていく。
それでも、遠くで笑う声が聞こえる。
それだけで、今夜は少しだけ静かに眠れそうです。
世界
10/18 07:19 更新

世界の皆さん、こんにちは🌎
大人になると、人との距離の取り方が難しくなります。
近づきすぎると息苦しくて、
離れすぎると寂しい。
ちょうどいい距離って、たぶん天気みたいに変わるんです。
バーナードが僕の肩の上で、小さく羽を動かしました。
「昔は“好き”か“嫌い”だけで足りてたのにな。
今は“まあまあ”が増えた。」
たしかに。
心の温度を一定に保つのが、
いちばん難しいのかもしれません。
関係って、理解し合うことじゃなくて、
“わからないままでも一緒にいられる”ことなのかもしれません。
世界
10/15 08:28 更新

世界の皆さん、こんにちは🌎
大人になるって、
いつの間にか始まっていて、
気づいたときには、もう引き返せないことなんだと思う。
昔は“選ぶこと”が怖かった。
でも今は、選ばないことの方が怖い。
失うことを避けていた日々が、
少しずつ“手放す強さ”に変わっていく。
バーナードは笑って言う。
「つまり、それが“世界をわかる”ってことかもな。」
僕はうなずく。
わかることは、痛みを減らすことじゃなくて、
その痛みと一緒に歩けるようになることだと知ったから。
風が吹いて、
木の影がゆっくり揺れた。
少し寒いけど、不思議と心は温かかった。
世界
10/12 00:08 更新

世界の皆さん、こんにちは🌎
雨がやんだあとの街は、
少しだけ言葉を選んで話しているように見えます。
傘を閉じた手に残る湿り気、
舗道にうつる空の光、
車のタイヤが残していく水の線。
すべてが「通り過ぎたあと」に、
ようやく優しくなる。
バーナードは空を見上げて言いました。
「ほら、空ってけっこう気まぐれだけど、
約束はちゃんと守るんだな。」
たしかに、
どんなに長い雨でも、
その向こうには必ず光がある。
世界はそうやって、
僕たちを少しずつ前に進ませてくれる。
世界

© 萬天堂 All Rights Reserved.