朝の空気が少しだけ冷たくなってきたね。ついこの前まで汗ばむほどの陽射しの中で、夏が早く終わらないかなって思っていたのに。季節はいつも僕らの感傷など意に介さず、ただ静かに、確実に歩を進めていく。
その移ろいの速さに心を揺さぶられる時もある。年齢を重ねるごとに、季節の変化が心の奥にまで染み込むようになった。自分がどれだけ変わったのかを確かめるように日々を見つめている。
秋の風に乗って漂う街の匂い、夕暮れに滲むオレンジの光、冷えた指先に感じる冷たさ。それらがすべて、過去のどこかで見た景色と重なり合う。懐かしいようで、少し切ない。でもその切なさこそ、生きている証のように思える。
人はいつだって、季節に追い越されながら生きているのかもしれない。けれど、追いつけなくてもいい。追い越されるたびに、僕たちは何かを手放し、また新しい何かを受け取っているのだと思う。
今日もまた、空気が変わる。そのたびに僕は、まだ知らない未知の季節の中へと静かに歩き出す。
































































































































