「琴線に触れる(きんせんにふれる)」という言葉があります。
感動する、心が震える、心に響く──そんな意味を持つ慣用句です。
辞書には、
素晴らしい映画や小説、絵画、音楽などの芸術作品に触れたとき、感動的なエピソードを見聞きした際に用いられ、心の深い部分を刺激され、感動を覚えると自然と涙が流れるような状態─
とあります。
……ちょっと大げさですよね💦
でも私は、琴線に触れるという言葉は、芸術作品に限らず、日常の中にもそっと潜んでいる感情なのだと思っています。
以前、セラピになる前の本業で、とある女性に言われた言葉が忘れられません。
私は企画をプレゼンする側、彼女はクライアント側。
競合の多いコンペで、正直なところ半ばあきらめていたのですが、最終的に私の企画が選ばれました。
理由を尋ねたとき、彼女は少し照れたように、
「うまく言えないんですが……琴線に触れました」
と。
しびれました。
目的語はあくまで“企画に”であって、“あなたに”ではないのですが(笑)、その凛とした言い方に、胸をつかまれたのを覚えています。
だれかの心を揺らし、共感を得るような仕事。
おこがましいけれど、それはセラピストとしての理想の姿でもあるのかな、と。
会話で。
施術で。
重ねた手と手で。
触れあった体温で。
あなたの琴線に、そっと触れられるセラピでありたい。
いつも、そう思っています。
ヨシヒコ





























