別れの時が近づくにつれ、
貴女の視線は切なさと憂いを帯びて潤んでいく
「もう会えなくなるかもしれない」
湧き上がる想いを押し殺すように、貴女は僕に口づけを重ね、舌を絡め、甘く切なく声を震わせた
湯船から出ようとするそぶりを感じた貴女は、爪が背中に食い込むほど強く僕を抱き寄せる
「私を貴方に刻んで、忘れないで」
その切なる願いが、指先から背中へと強く伝わってくる
「のぼせちゃうよ」
僕はそう囁き、貴女の手を取りお風呂を出る
熱った身体をバスタオルで優しく拭いてあげると、貴女は恥ずかしそうに微笑む
けれど、その微笑みの奥に、言葉にできない寂しさが潜んでいる
髪を乾かし、服を整えながら、ふと視線が重なるたびに胸が詰まる
無理に明るく振る舞おうとする貴女の仕草ひとつひとつが、別れを拒むようで愛おしい
支度を終え、部屋の明かりを落とすと、舞台の幕が下りたように急に寂しさが込み上げてくる🐰
エレベーターの中で、貴女の手がそっと僕の手を探し、震える指先が絡まる
「まだ 一緒にいたい…」
声にならない言葉がそのぬくもりから伝わり、思わず抱きしめてキスをした
ホテルの扉が開き、少し涼しくなった夏の夜風が二人を包み込む
街のネオンに照らされて浮かぶ貴女の横顔は、色気を帯びていて思わず見惚れてしまう
「またいつか」が無いかもしれない
だからこそ、貴女と過ごす一秒一秒が、大切な思い出の写真のように、胸に深く刻まれていく
