こんばんは、千です。
仕事をしていると、誰もが一度は失敗を経験するものだと思います。
今回は僕の失敗談のご紹介です。
先日、ご予約をいただいたお客様から「ホテルの駐車場で待ち合わせたい」とのご希望をいただきました。
僕は約束の時間より少し早めに到着し、人目につかない場所で静かにお客様をお待ちしていました。
初めてお会いする方で、利用の経験もなく右も左もわからないと伺っていたので、しっかりとリードして差し上げようと意気込んでいたんです。
しばらくすると、少し離れた場所に黒いワンボックスカーが止まりました。
ドライバーは40代前後の女性。そのタイミングでお客様から
「駐車場に着いて車内で待っています。黒い車です。」とのメッセージが。
よし、リードするぞと思い立ち、僕はその車へ向かいお声掛けしました。
「すみません、○○さんでしょうか?」
ドライバーの女性は一瞬きょとんとした顔をしたあと、少し困ったようにこう言いました。
「えっと……お客様、ですか?」
お客様? 僕は一瞬、何のことか理解できませんでした。
しかし、車の奥に目を向けると、後部座席には華やかな服装の女性が座っており、不思議そうな顔でこちらを覗いています。
……その瞬間、すべてを悟りました。
僕はデリバリーのドライバーさんに、勘違いして声をかけてしまったのです。
顔から火が出るような恥ずかしさでした。
「あっ、ち、違います!間違えました!」と慌てて後ずさる僕に、ドライバーさんは苦笑いしながら
「いえいえ、大丈夫ですよ。よくあるんです」と優しくフォロー。
冷静になって考えると“よくある”わけないですし、そう思うと余計に恥ずかしさがぶり返してきます。
そしてさらに、その一部始終をお会いするお客様がご覧になっていたようで、さっきの方はお知り合いですかと聞かれてしまいました。
「いやぁ、お声かけしたらUberみたいなお仕事のドライバーさんでした」と、空笑いしながら絞り出した言い訳はとても苦しいものでした。
以来、僕は待ち合わせの際には「ホテルの待合室でお会いしましょう」とご案内するようになりました。
——二度と、見知らぬ人にご迷惑をお掛けしてしまわないように。

※お客様に関連する情報は一部脚色して変更しております
萬天堂 千